MCと司会の違いとは

テレビ番組などで、番組の進行を行なう人のことを【MC】と呼んでいるのを聞いたことがあると思います。日常的によく使われる言葉ですが、一体なんの略かみなさんは知っていますか?

MCという言葉の意味や、MCと司会の違いについてまとめてみました。

MCは【マスター・オブ・セレモニー】の略

MCって何の略

MCとは、 【Master of Ceremony(マスター・オブ・セレモニー)】の略 です。マスターは「支配者」、セレモニーは「式典・儀式」という意味のため、直訳すると 「式の支配者」 となります。要するにMCは、式をまとめる人、指揮者となります。

イベントや番組の成功はMCが握っているといってもいいほど、MCはとても重要な役割となります。

MCと司会の違いは?

結論を申し上げますと、言葉の定義(直訳)としては「同じ」ですが、現在の日本での「使い分け(ニュアンス)」は異なります。

もともと「MC」は英語の Master of Ceremonies の略で、直訳すれば「式典の長」、つまり「司会」そのものです。しかし、現代の日本では、求められる役割やキャラクターによって使い分けられています。

 司会(Shikai)MC(エムシー)
主な役割

進行管理


時間を守り、台本通りに正確に進める。

場の支配・盛り上げ


出演者の個性を引き出し、面白くする。

イメージ

黒子・事務的


自分は目立たず、式を円滑に回す。

主役級・リーダー


自分のキャラクターで場を仕切る。

適任者アナウンサー、式典のプロお笑い芸人、タレント
よくある現場ニュース、式典、結婚式、シンポジウムバラエティ番組、音楽フェス、クラブイベント

司会とは

ニュースキャスターや結婚式の司会者のように、正確に進行を進め、時間通りにプログラムを消化する役割(タイムキーパー)でもあります。

MCとは(※日本国内の解釈)

日本におけるMCとは、テレビ番組やイベントなどで、出演者、来場者とのやりとりを特徴・個性を活かしながら、イメージがより良くなるように全体を仕切る人のことです。ただ台本通りに会を進めるのではなく、臨機応変に、空気を読みながら、円滑に進行する必要があります。

明石家さんまさん、クリームシチューさん、千鳥さんのように、台本はあってもアドリブを入れ、ハプニングすら笑いに変えて**「その場の空気を作る」**役割を指すことが多くなりました。

上記を見るとわかるように、司会よりもMCの方がより高い技術、能力が求められる仕事です。最近のテレビ番組ではアナウンサーだけではなく、芸能人やタレントが番組MCを務めることが多くなってきています。出演者それぞれの個性を理解し、出演者に対して公平に接する必要があります。発言が少ない人に対しては積極的に話題を振っていくことや、出演者に対して平等にコメントを求めるなど、しっかりとした技術が必要です。

司会の語源

「司会」という言葉は江戸時代には存在しませんでした。この言葉が生まれたのは明治時代で、明治期に西洋の文化(議会制度やキリスト教)が入ってきた際に、「Chairman(議長)」や「Moderator(仲裁者・進行役)」という概念などと共に、【Master of Ceremony(マスター・オブ・セレモニー)】という概念も日本に輸入され、そして日本語に翻訳する過程で「司会」は定着した言葉だと考えられています。

詳しく紐解くと、以下の3つのポイントが重要になります。

1. 明治時代の「演説・討論」ブーム

江戸時代までの日本(寄合など)では、明確なリーダーが進行を取り仕切るというよりは、なんとなく車座になって話し合い、全体の空気で決める(全会一致を目指す)スタイルが主流でした。そのため、進行役を表す言葉は「世話人(せわにん)」や「肝煎(きもいり)」、「行司(ぎょうじ)」などが近いものでした。

明治になり、福澤諭吉らが西洋の「スピーチ(演説)」や「ディベート(討論)」の文化を持ち込みました。会議を円滑に進めるための「進行役」が必要になり、そこで新しい言葉が求められたのです。

2. キリスト教の影響(有力説)

「司会」という言葉の直接のルーツとして有力なのが、キリスト教(プロテスタント)の影響です。

  • 教会での役割: 教会の礼拝や集会を取り仕切る役割(Presider / Leader)を指して、明治期のキリスト教会で**「司会」**という訳語が使われ始めました。「会を司(つかさど)る」という、非常に直感的な造語です。

  • 一般化: これが次第に、教会以外の演説会や集会でも「進行役」を指す言葉として広まったと言われています。

3. 「議長」と「司会」の使い分け

明治初期、西洋の会議における「Chairman」の訳語として、まずは**「議長」「会長」**という言葉が当てられました(福澤諭吉の『会議弁』などでは「議長」が使われています)。

しかし、次第に役割が分化していきました。

  • 議長: 議決権を持ち、議論を裁定する権力者的なニュアンス(政治・公的な会議)。

  • 司会: 決定権は持たず、あくまでプログラムを円滑に進める進行役(イベント・宴席・礼拝)。

このようにして、昭和に入る頃には、結婚式やバラエティ番組のような場での進行役を「司会者」と呼ぶスタイルが完全に定着しました。

MCには別の意味もある

さらに「MC」には、日本のエンタメ業界特有の使い方が2つあります。

① コンサートの「MC」=「おしゃべり」

日本のライブやコンサートで「これからMCに入ります」と言うと、司会者が出てくるのではなく、**「曲と曲の間のおしゃべり(トークタイム)」**を指します。 これは日本独特の表現で、英語圏では単に “Talk” や “Chat” と言うことが多いです。

② ヒップホップの「MC」=「Microphone Controller」

ヒップホップ文化では、Master of Ceremonies の意味も含みつつ、**「Microphone Controller(マイクで群衆を操る者)」**という独自の解釈がなされます。ここでは単なる司会ではなく、「ラップをする人(ラッパー)」そのものを指す称号として使われます。

まとめ

  • 言葉のルーツ: どちらも「会の進行役」で同じ意味です。

  • 現代の感覚:

    • 司会 = 台本通りに進める「きっちりした進行役」

    • MC = 個性で場を回す「タレント的な仕切り役」

前回の「司会」の由来と合わせると、明治時代に厳格な「議長」や「司会」が生まれ、昭和・平成を経て、よりエンタメ性の高い「MC」という言葉が定着した、という流れが見えて面白いですね。

ちなみに、最近の結婚式などでは、きっちりした「司会」ではなく、少しカジュアルに盛り上げてほしい場合に、あえて「MCの方」と呼んでオーダーすることもあるそうです。